2017年05月10日

だと酷評している

だと酷評している
だまりのあいだでなかば漂うようにして……何も目に見えない想像を絶する渦のなかへ」入りこみ、恐ろしさのあまり悲鳴をあげたことでとぎれたらしい。夢から目覚めたラヴクラフトは、ひどい頭痛と耳鳴りがしたが、どうあってもこの夢を書きとって、比類のない恐怖の雰囲気を、文章としてとどめておかなければならないという衝動にかられ、無意識のうちにペンを手にとって記しはじめた。顔を洗って改めて読みかえしたとき、夢があまりにも首尾一貫していることに驚き、わずか三語だけ変更して、ナイアルラトホテップを混沌の象徴とする最終節を書き加えることで、本篇が完成されたのだという。ラヴクラフトのドキュメントで重要な地位を占めることになるこの存在は、潜在意識の生みだした純然たる夢の産物だったのである。
 一九二二年に執筆され、〈ウィアード・テイルズ〉の一九二四年二月号に発表された後、さらに同誌の一九二九年九月号にも再録された。
 本篇は前年に執筆発表された『無名都市』において、「そは永久に横たわる死者にあらねど測り知れざる永劫《えいごう》のもとに死を超ゆるもの」という不可解な二行|聯句《れんく》を謳《うた》ったとされるだけにとどまった、狂える詩人アブドゥル・アルハザードが、はじめて禁断の『ネクロノミコン』の著者と同定される記念すべき作品である。『神殿』において象牙細工が災厄を招いたように、墓場荒しによって得た魔よけが凄絶《せいぜつ》な呪いをもたらす経過を描いた本篇は、いささか形容詞が多用されすぎている傾向はあるものの、デカダンの雰囲気のうちにつのりゆく恐怖をたたえて好感のもてる佳品となっているが、ラヴクラフト本人はクラーク・アシュトン・スミスに宛てた一九三〇年十月十七日付書簡で、「おおげさないいまわしをまだ控えることのできなかった頃に書いたもの」であって、「実質のない、くずのようなもの」。
 
『魔宴』 The Festival
 一九二三年に執筆され、〈ウィアード・テイルズ〉の一九二五年一月号に発表された後、さらに同誌の一九三三年十月号にも再録された。
 ラヴクラフトは終生こよなく、セイレム、マーブルヘッド、ニューポート、ポーツマス、ブリストルといった、ニューイングランドに古くからある街に心|惹《ひ》かれ、そうした街をモデルに用意周到なプランをたてて架空の街を生みだしつづけた。本篇の舞台dermes 脫毛價錢とされるキングスポートもその例にもれず、実在のマーブルヘッドをモデルにしており、すこし長くなるが、ラヴクラフトがはじめてマーブルヘッドを訪れたときの様子を、ジェイムズ・ファーディナンド・モートン宛一九三〇年三月十二日付の書簡から引用しておこう。
 


Posted by noisy at 12:02│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
だと酷評している
    コメント(0)