2017年07月26日
ちになるだろう

ことをそなたに教えるわけにいかぬ。しかしながら、ザンドラマスはみずからの推理の結果を拒み、その結論の裏をかくことにきゅうきゅうとした」
するとザカーズが言った。「なるほど、すると、われ更年期中醫調理われ全員が同時にあそこへたどりつくのだ。だれもがそれを知っているのだから、遠慮していてもしかたがない、そうだろう? いいから浜へおりて、まっすぐその洞窟へ行こう」
「あんたとぼくが鎧兜をつけるあいだだけ待ってからな」ガリオンがつけくわえた。「この船の上で武装するのは賢明じゃないだろう。クレスカを神経質にさせるかもしれない」
「いい計画だと思うよ、ザカーズ」ダーニクが同意した。
「おれはそうでもないな」シルクは疑わしげだった。「こっそり行くほうが有利だ」
「ドラスニア人らしいわ」セ・ネドラがためいきをついた。
「聞き流す前にかれの理由も聞いたらどうかしら、セ・ネドラ」ヴェルヴェットがほのめかした。
「こういうことなんだよ」シルクはつづけた。「ザンドラ健營營養餐單マスは自分が先にあの洞窟に行けないことをようく知っている。それでも、何ヵ月ものあいだルールの裏をかく方法がないものかとようすをうかがっていた。だから、おれたちもそういうふうに考えてみようじゃないか」
「毒を飲むほうがましだわ」セ・ネドラが身ぶるいした。
「これは敵を理解するための単なる手段だよ、セ・ネドラ。さて、ザンドラマスはおれたちより先にあの洞窟にたどりつき、ガリオンに出くわす必要性を避けようと見込みのない希望をいだいている。なんてったって、ガリオンはトラクを殺したんだからな、正気の人間ならだれだって〈神をほふる者〉と喜んで対決するわけがない」
「リヴァへ帰るときは、それはぼくの称号から取り除くつもりだ」ガリオンは気むずかしげに言った。
「それはあとでもできるさ」とシルク。「ザンドラマスは洞窟の入口に着いてあたりを見まわし、おれたちがいないとわかったら、どんな気持?」
「あなたの考えていることがわかってきましたよ、ケルダー」サディが感心したように言った。
「あんたならわかるだろうな」ザカーズがそっけなく言った。
「じつにすばらしい考えですよ、カル・ザカーズ」宦官は言った。「ザンドラマスは欣喜雀躍するでしょう。予言を出しぬいて、自分が勝ったんだと思いこむでしょう」
「そのあとおれたち全員が岩陰から出ていき、ザンドラマス健營體重管理がやっぱりガリオンと対決しなけりゃならず、シラディスの選択に従わなきゃならないと悟ったとき、彼女はどうなる?」
「たぶん激しい失望感を味わうわね」ヴェルヴェットが言った。
「失望という表現じゃ穏やかすぎると思うぜ」シルクは言った。「無念、のほうが近いね。それに焦りと健全な一服の恐怖を足してみろよ、おれたちが目にするのは頭の回転が鈍った人物だ。それにひきかえ、おれたちは洞窟についたら戦いがあること
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2017年07月11日
めて単純だが

ていった。わたしがどう感じていたかはほとんど記すことができない。まえにぼんやりと感じていた恐怖のすべてが、にわかになまなましくどっと押し寄せ、わたしは自分が、間近にいる忌わしい老人をたまらなく嫌っていることに気づいた。老人の狂気、いや少なくとも倒錯は、議論の余地がないように思われた。声は囁きに近くなっていて、そのかすれ具合は悲鳴よりも恐ろしく、わたしは耳をかたむけながら震えていた。
「さっきもゆうたように、絵が考えさせるとは妙なもんですわ。お若い方、わしがこの絵のここのところにうつつをぬかしとるのがおわかりなさるかな。わしはこの本をエブのところで手にいれてから、何度もこの絵を見とりますのじゃ。クラーク牧師が日曜日に大きな蔓《かずら》をつけて、ものすごい説教するのを聞いたときにゃ、なおさらこの絵をよく見たもんじゃよ。一度面白いことをやってみようと思いましてな……お若いの、驚きなさるな……わしがやったことゆうのは、この絵を見てから市場にだす羊を殺しただけのことですのじゃ。この絵を見てから羊を殺すちゅうのは面白いもんでしたぞ……」老人の声は、ときとしてほとんど言葉が聞きとれないほど、低くなっていた。わたしは雨の音、曇った、小さなガラスのはめられた窓が揺れる音に耳をすまし、この季節にしてはまったく異常な、近づきつつある雷のとどろきに気がついた。一度すさまじい閃光《せんこう》と落雷がきゃしゃな家を土台から揺がしたが、囁きつづける老人は気がつかないようだった。
「羊を殺すのは楽しゅうございましたな。けども、満足はいきませなんだ。願いが中途半端におわるんですからのう、妙な気分じゃった。お若いの、あんたは全能の神を愛しておられるから、誰にもゆわれんじゃろうが、わしはな、この絵を見つづけたおかげで、作ったり買《こ》うたりはできん食糧が欲しゅうなりはじめたことで、神さまをののしりましたんじゃ。じっとしとられるが、どうかなされたのかな。いんや、なんもやっとりません。ただ、もしやったら、どんな気分がするかのうと思うとるだけですのじゃ。肉は血と体を造り、新しい生命を与えてくれるそうじゃから、普通の寿命以上に生きられるんじゃなかろうかと思うとりますのじゃ……」しかし老人はもうそれ以上何もいわなかった。言葉を切ったのは、わたしがおびえきっていたためでもなければ、その猛威によってわたしがまもなくわびしげな黒ずんだ廃墟を目にすることになった、急速に高まりつつある嵐のためでもなかった。それはきわ、いささか異常な出来事のためだった。
開かれた本が老人とわたしのあいだにあり、あの図版が悍《おぞ》ましくも上をむいていた。老人が「普通の寿命以上」といったとき、何かがしたたる小さな音が聞こえ、開かれた本の黄変したページにあるものがあらわれた。わたしは屋根からもった雨水だろうと思ったが、しかし雨が赤い色をしているはずはない。食人の習慣をもつアンジック族の肉屋の店に、赤い染みがあざやかに映じ、恐ろしい図版になまなましさを与えた。老人は赤い染みを見ると、わたしが恐怖におびえきった顔をするよりまえに、囁くのをやめた。赤い染みを見ると、一時間まえに離れた部屋の床のほうに素早く視線をむけた。わたしは老人の視線を追って、わたしたちのちょうど真上、古びた天井のゆるんだ漆喰《しっくい》に、形の定まらない大きな真紅色の染みを見た。わたしが見ているあいだでさえ、その染みはますます広がっていくようだった。わたしは悲鳴もあげず、身動きもせず、ただ目を閉じた。一瞬の後、ものすごい落雷がおき、いい知れぬ秘密をはらむあの呪われた家を直撃し、そしてわたしの精神を唯一救ってくれる忘却がもた
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