2017年05月24日

考えられず


に、そしておそらく四千万年まえのものであるにもきない性質は、この生命体の組織に固有のもので、わたしたちには推測することもできない、何か太古の無脊椎動物の進化に属するものだった。レイクが見いだしたものは、最初のうちすべて乾燥していたが、テント内のストーヴによる熱が凍りついていたものを溶かすと、鼻をつく悪臭のある組織の水分が、損われていない部分に流れはじめた。血ではないが、どうやら血とおなじ目的をはたすものらしい、濃厚な暗緑色の液体だった。レイクがこの段階に達したころには、三十七頭の犬がすべて、キャンプ近くのまだ未完成の囲いに連れてこられていたが、かなりな距離があっても、刺激的な拡散する臭をかぎつけ、激しく吠えたてて、ひどくおちつきをなくしていた。
 この試験的な切開は、この不思議なものを調べるのに役立つどころか、単に謎を深めたにすぎなかった。外部の器官から推測していたことはすべて正しく、こうした証拠に基づけば、動物と呼ぶことにほとんどためらいも感じられなかったが、内部を調べたことから、植物としての証拠があまりにも数多く見いだされたため、レイクはまったく途方にくれてしまった。消化と循環の機能があり、海星《ひとで》状の基部にある赤みがかったいくつもの管には、老廃物があった。おおざっぱにいえば、その呼吸器官は二酸化炭素というより酸素を処理するもので、空気をたくわえる気室があり、外部の孔とすくなくとももう二つの十分に発達した呼吸器系――鰓《えら》と気孔――で呼吸をおこなうという、奇妙な証拠もあった。明らかに両棲類であって、おそらく空気のない長い冬眠期に適応したものな帝國金業黃金買賣のだろう。発声器官が主要な呼吸器官とともに存在しているようだったが、いまのところ実態をつきとめられない特異なものだった。明確に音節をわけた発声という意味において、言語を発声したかどうかはほとんど、それよりは広音域にわたる笛のような音を出したというほうが、はるかにありえそうだった。筋肉組織はほとんど発達していない。
 神経系はレイクを愕然とさせるほど複雑で高度に発達していた。いくつかの点では、きわめて原始的なものだが、極端なまでに特殊化した発達をしたものであるらしい、神経中枢と神経連繋とがあったのだ。五つに分裂した脳は驚くべき発達をしていて、地球の他の生命体には異質な要素のかかわる、頭部の硬い繊毛を部分的に介在する感覚器官のある徴候もあった。おそらく通常の五感以上の感覚を備えていて、その習性はわたしたちには予想もつかないものだったのだろう。レイクの考えによれば、鋭敏な感覚と精密に分化した機能をもつ原始世界の生物――現在の蟻や蜂によく似たもの――だったにちがいないということだ。生殖については、隠花植物、とりわけ羊歯植物類のように、翼の先端に胞子|嚢《のう》をもち、葉状体もしくは原葉体から発生するものと思われる。
 しかしこの段階で命名することは愚かきわまりなかった現時市面上的輪狀病毒口服疫苗有兩種 。放射相称動物に似ていながら、明らかにそれ以上のものだからだ。部分的には植物であるものの、四分の三は動物の組織に必須《ひっす》のものが備わっていた。体の相称性をはじめ  


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2017年05月10日

だと酷評している


だまりのあいだでなかば漂うようにして……何も目に見えない想像を絶する渦のなかへ」入りこみ、恐ろしさのあまり悲鳴をあげたことでとぎれたらしい。夢から目覚めたラヴクラフトは、ひどい頭痛と耳鳴りがしたが、どうあってもこの夢を書きとって、比類のない恐怖の雰囲気を、文章としてとどめておかなければならないという衝動にかられ、無意識のうちにペンを手にとって記しはじめた。顔を洗って改めて読みかえしたとき、夢があまりにも首尾一貫していることに驚き、わずか三語だけ変更して、ナイアルラトホテップを混沌の象徴とする最終節を書き加えることで、本篇が完成されたのだという。ラヴクラフトのドキュメントで重要な地位を占めることになるこの存在は、潜在意識の生みだした純然たる夢の産物だったのである。
 一九二二年に執筆され、〈ウィアード・テイルズ〉の一九二四年二月号に発表された後、さらに同誌の一九二九年九月号にも再録された。
 本篇は前年に執筆発表された『無名都市』において、「そは永久に横たわる死者にあらねど測り知れざる永劫《えいごう》のもとに死を超ゆるもの」という不可解な二行|聯句《れんく》を謳《うた》ったとされるだけにとどまった、狂える詩人アブドゥル・アルハザードが、はじめて禁断の『ネクロノミコン』の著者と同定される記念すべき作品である。『神殿』において象牙細工が災厄を招いたように、墓場荒しによって得た魔よけが凄絶《せいぜつ》な呪いをもたらす経過を描いた本篇は、いささか形容詞が多用されすぎている傾向はあるものの、デカダンの雰囲気のうちにつのりゆく恐怖をたたえて好感のもてる佳品となっているが、ラヴクラフト本人はクラーク・アシュトン・スミスに宛てた一九三〇年十月十七日付書簡で、「おおげさないいまわしをまだ控えることのできなかった頃に書いたもの」であって、「実質のない、くずのようなもの」。
 
『魔宴』 The Festival
 一九二三年に執筆され、〈ウィアード・テイルズ〉の一九二五年一月号に発表された後、さらに同誌の一九三三年十月号にも再録された。
 ラヴクラフトは終生こよなく、セイレム、マーブルヘッド、ニューポート、ポーツマス、ブリストルといった、ニューイングランドに古くからある街に心|惹《ひ》かれ、そうした街をモデルに用意周到なプランをたてて架空の街を生みだしつづけた。本篇の舞台dermes 脫毛價錢とされるキングスポートもその例にもれず、実在のマーブルヘッドをモデルにしており、すこし長くなるが、ラヴクラフトがはじめてマーブルヘッドを訪れたときの様子を、ジェイムズ・ファーディナンド・モートン宛一九三〇年三月十二日付の書簡から引用しておこう。
   


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