2017年04月28日

こんな困ったはめに

こんな困ったはめに
した。いかにももっともらしく、おこった声さえ出しました。「わたしが、そんなこと、するわけがありません——ここにいるだれかさんとは、ちがうんですから」エセルは、最後のことばを、小声でつけ加えました。一年生の一学期に、ふとしたはずみで、ミルドレッドが、エセルをコブタにかえてしまったのを、ねにもって、ひきあいに出したのです。
「ミルドレッド」と、ハードブルーム先生。「これからいう反省文を、五百回書きなさい。完ぺきにやるんですよ。『わたくしは、想像力をおさえることを、学ばなければなりません。そして——』おやまあ! ミルドレッド、足をどうたんですか?」
 みんな、いっせいに、ミルドレッドの足もとを見ました。ミルドレッドは、もとの人間のすがたに、もどっていましたが、薬の影響が、全部消えていってしまAmway傳銷わずに、残っていて、まだ、脚の先があらわれていなかったのです。
「これが証拠です!」ミルドレッドは、うれしくなってさけびました。「ハードブルーム先生、実験室にいたカエルは、わたしだったんです。先生が、ろうかで、みつけたあのカエルです。薬のききめはうすれてますけど、まだ完全になくなってないので、足が見えないんです。ああ、そうだわ! 証拠は、まだほかにもあります。わたし、先生のポケットのなかみを、知っているんです。ハンカチと、ふえと、輪ゴムをまいたノートでしょう!」
 ハードブルーム先生は、エセルのほうに、むき直りました。
「それで?」先生は、四人が四人とも、思わず、壁ぎわにあとずさりしたほど、すごみのある声で、たずねました。
「あの——あの、えええと——あの——ミルドレッドが、わたしの家、家族を、ばかにしたんです」エセルは、弱よわしく、「それに、ほんとに、ミルドレッドが、ゆくえ不明になるなんて思わなかったし、ちょっと、こわがらせようと思って、それで、あの……」エセルの声は、消えていきました。
「エセルにミルドレッド」と、ハードブルーム先生。「明日の朝、朝食の前に、ふたりで、わたくしのへやにいらっしゃい。今は、ともかく、寝ることです。みんなにいってるんですよ」
 担任の先生は、三人組を、それぞれのへやに、連れていきました。ミルドレッドのへやは、いちばん最後でした。「朝までに、足がもとの場所にもどっていたら、けっこうなことですがね、ミルドレッド」ハードブルーム先生の冷たい声に送られて、ミルドレッドは、へやにとびこむと、急いでドアを閉めました。
起床のベルのすぐあとのこと、エセルとミルドレッドは、ハードブルーム先生のへやの前で、ドキドキしながら、待っていました。エセルにとって、ほめられること以外で、担任の先生に呼びだされることなどというのは、初めての経験なのです。
「あんたのせいよ、ミルドレッド・ハブル」エセルは、ろうかを行ったり来たりしながら、ぶつくさいいました。「あんたが、あんなばかな話をシビルにして、こわがらせたりしなければ、わたしだって、あんなことするはずなかったんですもの。それにさ、わたしはほんとにすぐ、魔法をとこうと思ってたのに、あんたったら、かってに、にげだしたりしてさ。だから、なったんだわ」
「ずうずうしい人ね、あんたって!」と、ミルドレ實德ッド。「自分が悪いことをしたのを、認めたくないだけなんでしょ? 少しは、考えてごらんなさいよ、実験室中、追いまわされるなんて、ものすごく楽しくなんかないのよ。フラスコに、つっこまれたりして——」 ドアが開いて、ハードブルーム先生が、手まねきしました。
「すわりなさい」先生は、ふたつのいすを指さしました。みんなが、せきについたところで、
「わたしのせいじゃないんです、ハードブルーム先生」いきなり、エセルが、口を開きました。「ミルドレッド・ハブルが、わたしの妹につくり話をしてこわがらせたんです。一年の生徒が、先生にカエルにされたとか、学校の池にいるカエルが、そのカエルだとかいって。だからわたし、ミルドレッドを、こらしめてやらなければ、思ったんです」
「先生、その話、正確にはそうじゃありません」と、ミルドレッド。
「わたし、エセルの妹を、なぐさめてやろうと思ったんです。


Posted by noisy at 11:51│Comments(0)
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